ポルトガルワインの魅力1 テロワール

Portugal

これからポルトガルワインの魅力を私なりに伝えていこうと思います。ワインについては色々な見方が出来ると思うのですが、私の中で色々と悩んだ結論を、幾つかの側面からお伝えしていきます。

まず一番重要な事は農園がどこに立地するかにありますが、私が紹介しているドウロ上流のワインは名前のとおり、ドウロ川上流の岸辺のに存在します。非常に寒暖の差がある地域ですが、夏の暑さはドウロに近い地域の場合、川が暑さを吸収してくれとも言われています。雨量も砂漠並みに少ないのですが、川周辺は霧が発生しやすくそれが天然の蒸気のように作用し、植物を潤してくれているので、このエクストリームな環境でも植物が栽培できるのです。

昔からこの地域が段々畑を作った理由も、この雨量と関係しています。写真のようにスロープは全て人力で段々畑にされ、人間が通れる最低限のスペースが造られています。これで雨量は石止めされ最後の一滴まで無駄なく地面に染み込むようになっています。すごい労働力の賜物ですが、現在このドウロのテラス式ワイナリーは世界遺産にも登録されるほど偉大な風景を形づくっています。何度見てもただただ感動するばかりです。

そして、ドウロを代表する地質はこのシスト(=スレート)という岩が形成しています。これは粘土質の土壌が遠い昔、海で何層も重なって出来た地質だそうですが、とてもコンパクトなので熱を吸収し、寒い冬は日中温めらた石が、夜寒さからぶどうの根を守ってくれるそうです。このシストが多いワイナリーから生まれるワインは、よくミネラル感が強いワインと表現されます。ミネラルという表現は何を意味しているのか、ニュアンス的な側面が強く難しいのですが、私的にはミネラル感の豊かなワインというのは、とてもシャープな独特な酸味を持つワインのように思います。カームのワイン、特に白ワインはキレの良い酸味が魅力で、このドウロのテロワールが生むキレだと私は解釈しています。

カームの農園はよく観察すると、農園毎に地質に違いがあり、スレートばかりの土壌から、石英や御影石が点在する土壌まで色々あります。それぞれのテロワールの特徴を活かしてぶどうの品種が選ばれ栽培されています。ぶどうだけでなくオリーブも同様で、フィールドブレンドと言われる農園で直接色々な品種がミックスされた状態で植えられています。品種を選んで収穫するのではなく、既に昔の人が思った各土壌に合った品種が混在で植えらえているので、畑で既に様々な品種がブレンドされているのです。知恵の賜物と言って過言でないでしょう。

写真のように、赤ワインのぶどう苗はボルドー色にキレイに紅葉します。この風景の美しさは言葉では伝えられないのですが、毎年日本の紅葉のように見たくなりますが、圧倒的にワインファンの私にとってはワイナリーがお寺よりも優先です。

これで少し素晴らしいポルトガルワインを生む土壌のことをお伝え出来たと思います。
昔からポートワインのぶどうの産地として世界的に有名なドウロ。1980年代からテーブルワインの産地として世界で注目されていますが、まだまだマイナーな地域。このワインの良さを伝えるのも、大変な努力が必要であることは確かです。でも一度ポルトガルを訪問したり、ポルトガル料理を口にしたことがある人なら、フランスやイタリアのワインにはない食の魅力を感じていただけたはず。ポルトガルは大西洋に面した小さな国ですが、確かに他にはない魅力を持っている国なのです。

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