ポルトガルの塩田

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ポルトガル南部アルガルベの塩の輸入は、もう10年来実施していますが、遠いのでなかなか訪問出来ない場所のひとつです。おまけに完全に自然に頼った生産をしているので、気温、風、雨と色々な天候に左右され、訪問するタイミングを合わせるのも大変なのです。

古代フェニキア人、ローマ人がこの塩田を加工品を作るために作っていたそうですが、21世紀になった今も手法はほとんど変わっていません。私が選んでいる『マルノト』とポルトガル語で呼ばれ塩職人は、この地で代々塩づくりをしてきたそうです。同時にウィンドミルも運営していたそうですが、現在は完全に塩だけ生産しています。
塩づくりは昔ながらのアルチザン生産と大量生産が、同じ地域で実施されていますが、大量生産はブルドーザーを使い不純物、土も入ってしまうような収穫方法で、後に人工的な精製工程が必要となります。
簡単に言いますと、海塩は海水をかん水して、1リットル3%=3gしか含まれていない塩を、海水の濃度を上げて採取していきます。最終的に天日で池を乾燥させる入浜式塩田で、最高の結晶であるフロールデサルは作られていきます。
塩田がピンク色の理由は、甲殻類のアルテミアサリーナが住んでいるから。塩田のエビと呼ばれるアルテミアサリーナ。これを食べるのがフラミンゴですが、フラミンゴのピンク色はこのアルテミアによると言われいます。この薄っすらとしたピンク色が、実はフロールサルの色で、収穫したての頃はわずかにピンク色が残っています。
前回、塩田を訪問した時は、もう他界してしまった男性二人が、塩田を案内してくれたのですが、今回は現役のジョアオペドロが説明してくれました。彼も塩田へのパッションを持っている男性で、香りがないと言われているフロールデサルに、わずかながら香りがあることも教えてくれました。
収穫は夕刻、結晶を壊さないように風のない日に実施されます。残念ならがこの日は風が強かったのですが、フロールデサルの結晶は風の中収穫すると、池の底に沈んでしまうそうです。とてもデリケートな作業で重労働です。静かに黙々と結晶を、炎天下の中収穫するのです。
こんな道具を使って結晶をすくっていきます。
すごいと思ったのは、この塩田の通路。通路にまで塩が敷かれていますが、風が強い時に通路の土が飛ばないようにするためです。また、マルノトが作業している時も、靴底につくのは塩だけにするためだそうです。とにかく、贅沢な塩であることは理解していただけたと思います。
そして、特に驚いたのがフロールデサルの結晶の形。なんと逆ピラミッド型に浮かぶそうです。パワーフードだと確信しました。この後、フロールデサルはある程度まで乾燥させ、セミウエットの状態で倉庫に運ばれます。
こんなプラスチック製の容器に入れ、オーダーがあるまで倉庫で大切に保管されます。オーダー後に、それぞれのサイズの袋や陶器詰めにされていきます。
このベルトコンベアーの上で、フロールデサルは熟練の作業員の目でダブルチェックされます。大自然の恵みですから、どうしても海藻や小さな生物が中に残っている場合があるのですが、目が慣れないとほぼ見えないレベルのごみです。それを担当の人は、毎日数時間だけ実施します。長時間は目が疲れすぎてしまうので。
ご覧のように金属探知機も設置されています。
こんな風に細かい不純物は取り除かれていきますが、最初見せてもらった時は、私には全く何をつまんでいるのか分かりませんでした。そのくらい小さいですし、見難いものでした。
海水が人間の知恵と努力で、どんな風にフロールデサルになるか、簡単に説明させていただきました。シンプルなものほど奥深いストーリーがあるもので、これからも深めて行きたいと思う分野です。ジョワオペドロの塩田には、教室と呼ばれる試験用の塩田も大きくあり、その中で色々な実験もされていました。これからも益々レベルアップしてくれることでしょう。私も色々な発見があり、これからもっと塩の世界は広めていきたいと思います。写真がマリソルオーナーのアンドレアと、マルノトのジォアオペドロ。どちらも熱心な方々で誇りに思います。
塩田に囲まれた元ウィンドミルに宿泊しました。朝早くフラミンゴの声で目が覚めたのですが、あのしなやかな動きは、フロールデサルにより魅力を与えてくれているように感じました。塩田はバードウオッチングの舞台でもあります。
そして、この自然公園として保護されているリア・フォルモサの風景。大西洋のパラダイスだと言っても過言でないと思います。
多くの人が純粋で天然の塩を消費できるよう、もっと力を入れてお伝えしていきますね。

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