Guadalupe グアダルーペ Part 2

Food Culture 食文化

2014年の記事の改訂版です。Part 1の続きです。

美しいグアダルーペの町で発見したものについて、今日はお伝えします。豊かな自然に囲まれたグアダルーペ周辺では、オリーブ、アーモンド、さくらんぼや栗と様々な産物がありますが、真冬はやはりイベリコ豚。本格的にどんぐりを食べている豚が、周辺にたくさん存在します。どちらかというとコルクのどんぐりが多いように思いましたが、もっと南下していくとより本格的などんぐり豚の生息域に入ります。

グアダルーペには『黒いマリア』があり、スペインで最も深く古い信仰の対象になっています。スペインの女王といわれるほど重要な女神様です。このマリアに安全を祈って、コンキスタドール(征服者)は南米に向かったのです。南米でカトリックの普及を行ったヘロニモス派にとって最も大切な女神だったグアダルーペは、そのまま南米に伝わり南米でも深い信仰の的になっています。

コロンブスが第一回目の航海から、スペインに持ち帰ったものの中に唐辛子があります。その唐辛子栽培を開始したのが、ヘロニモス派の修道士たち。まず最初にエクストレマドゥーラにある彼らの修道院で栽培が開始され、現在でもベストクオリティーのピメントンと呼ばれる、スペイン産のパプリカを生んでいます。コロンブスは胡椒の一種だと言って唐辛子を伝えましたが、スペインで辛いものは好まれず、ヘロニモス修道士が長い時間をかけて交配させ、現在のような辛味の全くない唐辛子を作り上げました。辛くない唐辛子はスペイン全国で食べ物の保存のために利用され、今ではなくてはならない調味料になっています。

そんなことを考えながら歩いていたら、ソーセージ作りに励んでいるおばさんを発見。よ~く見せていただきました。

これは豚の血を使うソーセージのMorcillaモルシーリャ(モルシージャとも呼ばれます)。よく黒いソーセージを見かけると思いますが、それがモルシーリャです。各地域、家庭でスパイスや具の扱い方は違いますが、重要なのはやはり豚の血です。そこに沢山のにんにくや胡椒、もちろんピメントンも加えます。地域によっては、玉ねぎ、松の実なども入れますが、ブルゴス(スペイン北部)のモルシーリャには、シナモンやお米が入ります。余談ですが、個人的には、ブルゴスのモルシーリャが好みです。この地域のものは、にんにくの量がすごいので、きっと煮込み料理に向いていると思います。この町でバルに入るとモルシーリャのタパスが登場しますが、それは茹でたものが多いようです。日本人の口には合わない感じですが、なぜか懐かしい香りのする美味しい食べ物です。

写真のように面白いようにソーセージが完成していきますが、茹でて最終的に天井から吊るして熟成させていくのが、ソーセージの作り方。おばさんは隣にソーセージを熟成させる部屋を持っていて、薪ストーブを使って燻製にするものもあるそうです。

いつかソーセージも作ってみたいと思っているのですが、スペインでこの豚の加工品を作る事は、ひとつの大儀式でラ・マタンサというお祭りというか儀式のようなものがあります。何度か呼ばれたことがあるのですが、豚を殺す工程もあり日本人には、血なまぐさいかなりハードなものです。豚の内臓や血をあまり生々しく見るのは、民俗学的な視点から観察するようにすると興味深いものです。

最後におばさんのお店でお買い物。主にハーブ、彼女の畑で採れるというオレガノをたくさん購入しました。天然のオレガノの香りをしると、市販されているドライオレガノは物足りなくなります。ドライプラムも購入しました。プルーンと同じものですが、ドライの具合が半生のような仕上がりでとってもに気に入りました。

おばさんのソーセージも勿論購入しましたが、イノシシのサラミを買ってみました。どんなものか試すために買ったのですが、あまりにもにんにくの香りが強くて、私はちょっと食べられませんでした。パートナーがしっかりと食べてくれたのでよかったのですが…
チョリソのスタンダードなものにすれば良かったと後悔しています。
皆さんは、もし行くチャンスがあったら、是非じゃがいもや粉入りのチョリソ【ファリナト】や【パタテラ】というものを試してみてください。この地域の名物です。

ひとつお菓子もご紹介します。これはグアダルーペに行かないと出会えない珍しいお菓子で、Muegadoムエガドと呼ばれています。こんな風にリング型または、ミニカップケーキ型、ロールケーキ型があります。どんなモノかというと、かりんとうのような感じではちみつの香りがします。

今回はグアダルーペの食べ物のお話ばかりとなりましたが、もっと数多くの発見がありました。町の長老の方々とも話しをして、近隣のこともよく教えてもらったので、次回は事前に連絡をとり、特別に開いてもらい見学したいところも、次回のペンディングとして残しました。
歴史ある地域は、本当に見るものが多くて何度訪問しても終わりませんね。次回のブログでは、グアダルーペの歴史について詳しく書きたいと思います。

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