エル・エスコリアルへガーデン訪問

Garden 庭

スペインは6月21日まで緊急事態宣言が解除されないので、結局100日以上外出制限された生活でした。6月21日までマドリードやバルセロナの被害の多かった地域は、別の県への移動も出来ないのですが、同日にヨーロッパの主な国との国境も開放されるということで、普通の人には理解出来ないような政策ばかりが執行されていく中で暮らしています。こうなると何より健康管理が大切に思えるので、毎日ウォーキングと出来る限り綺麗な空気を吸い気分転換をする事が不可欠になっています。週末はスペイン王家の霊廟であり、修道院、宮殿であったルネッサンス建築があるエル・エスコリアルへ、ガーデン訪問して参りました。

これが国王フェリペ2世が建造した修道院兼宮殿。教会はバチカンの次に大きいもので、御影石の重さに圧倒される建物です。何度訪問しても発見のある場所で、もちろん世界遺産でもありますが、外出禁止中に読んだ本に興味深い事が記されていました。この建物を建造すると決まった時、実は建築家候補に上がっていたのはミケランジェロだったそうです。外交官によるミケランジェロとの交渉が失敗に終わり実現しなかったそうですが、実現していたらどんなデザインになっていたのでしょうか。間違いなくもっとエレガントな建物だっただろうと私は思っています。

今回の目的は18世紀に宮殿周辺に増設された離宮のガーデンを見る事でした。20年くらい前に行ったことがあるのですが、その後修復作業でずっとクローズされていました。

18世紀インペリアルスタイルが流行っていた頃の建物なので、修道院とは全く違いますが、こちらの方がテンプルのように見えます。

彫刻のないヨーロッパの庭は考えられませんが、ここには素晴らしいスフィンクスが番犬のように入口に設置されていました。まるで日本の狛犬と同じように一対です。

スフィンクスを通過して門を抜けると大きなレバノン杉のあるガーデンが広がりますが、ここでも御影石が登場。シンプルな噴水もがっちりと思い御影石で出来ており、コーナーはアイアンで支えられています。何んともスペインらしい噴水です。

庭の傾斜を利用して塀も設置されているのですが、塀は吊るバラで飾られていて、バラがちょうどベストのタイミングで見ることが出来ました。今年は春の庭を外出禁止で全く訪問出来なかったので、このバラの美しさには感動しました。

レバノン杉は恐らく樹齢300年くらいのものでしょう。四方八方が美しい景色に囲まれているので、自然と美しい庭が出来ていましたが、噴水用のため池やプールのような貯水池もあり、当時の生活を感じさせてくれます。この宮殿はパーティーや王子がリラックスして遊べるようレクリエーションが目的で造られたため、屋内に寝室さえないのです。ガーデンパーティー用の石のテーブルや椅子はしっかりと残っているので、庭を歩いていると彼らの姿が目に浮かぶような場所でした。

庭の噴水から見えるエル・エスコリアル修道院の景観。写真では分からないのですが、背後にマドリードの景色が広がっていて、圧巻の風景です。

このパノラミックを見た後は修道院に戻り、もっと低いところにあるもうひとつの離宮を訪れました。こちらにはアジサイがあり、4,5年前に訪問した時、また訪れたいと思っていました。我が家から近いので毎年アジサイの季節に来たいと思っていても、あっという間に時間が経ってしまい何年も訪れていませんでした。

マドリードでもここは山麓にあるので、水が豊富で気温も低く植物がマドリードよりも良く育ちます。セクオイヤも立派に育ちそびえ立っていました。

目的のアジサイは、少し早かったようで思ったほど咲いていませんでした。また、今年はきっと管理をしているガーデナーも思うように手が掛けられなかったのかもしれません。

パルテーレのある庭が大好きなのですが、ここはこじんまりとしたパルテーレなので親しみやすく、こんな庭に囲まれて暮らしたいと年齢が増すごとに感じます。

そして、今回一番感動したのが、この離宮のコンサーバトリー。このコンサーバトリーがある暮らし、私の憧れなのですが、今年はいくつかガーデンを巡り、かっこいいコンサーバトリー探しをしようと思います。写真ではよく分からないかもしれませんが、長方形の奥深い建物で全てガラスとアイアンで造られています。ここは屋根もスレートが使われているお洒落なもので、きっとオレンジやレモンの木もこの庭にあったことを想像させてくれます。

久しぶりに解放感を感じ、美しいものに癒された午後でした。

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