スペインで最も美しいぶどう収穫祭

Castilla カスティーリャ

歴史は短い収穫祭ですが、スペインでもっとも美しく魅力ある祭りのひとつだと思うのが、Toroトロという町のぶどう収穫祭Fiesta de Vendimiaです。豊かな自然の恵みを馬車一杯に積み込んで、その馬車の美しさを競い合うコンクールになっており、現在60台ほどの馬車がパレードに参加しています。1976年始めてこの祭りが開催された頃は、わずか4台くらいで競い合ったそうで、この祭りがどのくらいポピュラーなものになり、地元の人に愛される祭りになったかは目を見張るものがあります。

スペインで開催される祭りの素晴らしさは、限りなく本物でパレードを実施するところにあると思います。代表的なものがイースターパレードで、セビリャやヴァイヤドリッドなどで繰り広げられる行列には、美術館で保存される17世紀、18世紀バロック美術の傑作彫刻がパレードを飾るというすごいものです。

このぶどう収穫祭の場合は、昔から使われていた馬車が修復され、10月に収穫されるぶどうをはじめとするあらゆる野菜や果物、ピクニック用の揚げ菓子やハム・ソーセージ、パンなどで飾られます。各地で様々なパレードがありますが、生の食材を使い馬車を本格的に飾り付け、民族衣装に身を飾り、ロバや馬まで飾る行事はなかなかありません。アンダルシアにも馬車で巡礼地を訪問するような祭りはあるのですが、まるで静物画のような世界を復元しているのは、この祭りが一番優れていると思います。

多くの人がファミリーで馬車を飾りつけて参加していますが、誰もが心から楽しんでいることが表情から分かります。衣装は伝統的な農民の姿から、ちょっとおしゃれをしたトロの町の豪華な民族衣装まで様々。子供から大人まで自分の好みの衣装を選んで参加していますが、必ず伝統ある衣装になっています。この祭りのおかげで、この伝統的な民族衣装を守る文化もとても根付いていて、衣装のコレクターが多いことも、この町の特徴で驚きの事実です。

ぶどうの収穫祭なのでワインも欠かせません。シンプルなおいしいワインを、パレードのお兄さんからいただいたので数杯飲ませてもらいました。途中、イギリス人女性でトロの町でワイン造りをしている二コラにもバッタリ出会い、彼女のきれいな馬車も楽しませてもらいました。60台全部見られなかったのですが、特に彼女の馬車はデコレーションがキレイでした。

勿論、音楽も伝統的な地方色の強いもの。バグパイプまで登場します。

ある人から質問があったのですが、ベレー帽は地中海一体で古代から使われていた帽子で、バスク特有でもフランス特有でもありません。貧しい庶民の帽子ですが、今でもバスク地方には大量生産をしていた工場が残っているので、バスクの民族衣装と関連付ける人が多いようです。軍隊でも使用されていたくらい非常に身近で生活に密着していたものがべレ―帽です。

こんな感じで誰もが印象的で個性的。画家だったら絶対書きまくっていると思います。

子供たちの可愛さは言葉になりませんが、こんな清楚でかわいい子供たちの姿は、携帯電話なしの本当に昔ながらの姿で、昔はよかったなぁ~と思える瞬間です。

ピクニックのカゴの中には、チョリソやトレスノ(豚の皮のフライ)、ドーナツなどのお菓子で一杯ですが、これはパレードの後みんなでしっかりと楽しむためのものです。とってもおいしく出来ています。美しい刺繍にも注目してください。

小さいのに貫禄のある表情の子供も毎年います。

今年も本当に楽しませていただきました。50年くらいで祭りも伝統ある素晴らしいモノにすることが出来るのだと、改めて驚かされるトロのぶどう収穫祭でした。

 

 

 

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