カリオンデロスコンデス・サンティアゴ巡礼の道

Castilla カスティーリャ

サンティアゴ巡礼ルートはひとつ固定されているわけではなく各方面から多数のルートが存在します。Carrion de los Condesカリオンデロスコンデスはフランスからの最もオーソドックスなルートにある重要な中継地で、必ず訪問するべき教会や修道院が多い歴史ある町です。

カリオンという名の川の岸辺にあります。他の有名なサンティアゴ巡礼の町と同じように、町のメインストリートは巡礼の道であり、巡礼者は町を横断するようになっています。中世の城壁跡を見ながら町に入ると、まずはサンタマリアデルカミーノという正に巡礼のための教会が貴方を待っています。

12世紀のロマネスク建築ですが、この時代スペインはレコンキスタという国土回復のためのイスラム教徒との戦争を繰り返しており、この教会にはある戦いでキリスト教徒が勝利した事を記念する女神が祀られています。巡礼ルートに残る数多くの女神の中でも際立って美しい女神像です。

1250-1300年に創られた石像で美しい色彩で飾られています。13世紀以降どれほどの歴代スペイン王や騎士、巡礼者がこの石像を拝んでいたのかと思うと鳥羽がたちます。何度も訪問したくなる気持ちにさせてくれる不思議な力を持つ像でした。

この教会を出るとメインストリートは町の中心部へと向かいます。

サンティアゴ教会。12世紀建造。マエストロ・フルチェルの作品と言われています。ここにはスペイン、ロマネスク様式の頂点に立つキリスト像が奇跡的な美しさで12世紀から佇んています。全能者ハリストス=パントクラトールと呼ばれるキリスト像が、天の王であり審判者である事が表現された彫刻があります。荘厳さがこれだけある卓越したキリスト像は、巡礼ルート全体でもトップレベルのものです。作者について様々な研究がありますが、12世紀芸術家同士の深い交流があった痕跡は明らかです。フレンチロマネスクの傑作モワサックやヴェズレ―、そしてシャルトルの彫刻を見て感銘を受けた作者がこのキリスト像を彫ったとしか思えません。フランスの作品から100年くらいの時を経て、カリオンデロスコンデスのキリスト像はロマネスク様式からゴシックへと移り変わるスタイルで彫られています。

 

近くで見ると破壊されている部分もかなりあるのですが、キリストは完璧な状態で残っており、サンティアゴに向かう巡礼者はこの像から大きな感動のエネルギーをもらい巡礼を続けるための力を授かったのだと思います。※この写真はABCからお借りしました。 @yrincewind

De w:Séraphin-Médéric Mieusement (1840-1905) – https://1886.u-bordeaux-montaigne.fr/s/1886/item/102911#?c=&m=&s=&cv=&xywh=630%2C2026%2C2419%2C2187, CC BY-SA 4.0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=127795584

こちらのモノクロ写真がフランス、モワサックの傑作。共通点が感じられると思いますが、100年前先にこちらの作品がフランスで彫られています。

私も中世の人々と同じように、この偉大な彫刻から大きな感動とパワーをいただきました。また女神にもパントクラトールにも会いに行きたいと思います。皆様も是非チャンスがあったら訪れてみてください。

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