私のワインライフ原点リベラデルドゥエロ

Castilla カスティーリャ

今でこそ世界中でスペインのトップワインの故郷として有名になったリベラデルドゥエロですが、DOPが正式に設立されたのが1982年まだ40年の歴史です。只これは様々なワイン製造規定がある事を意味していて、この地域でのワイン造りは2500年の歴史があると言われています。事実DOP本部のあるROAロアの町周辺には、Pintiaなど紀元前からの遺跡が残っており今でも発掘が続いています。

 

【写真は@rutadelvinoriberadelduero.esからお借りしました。この建物がDOP本拠地。Roaにあります】

 

なぜ私のワインライフの原点がリベラデルドゥエロかというと、当時仕事で会食があると高級ワイン【ベガ・シシリア】が登場し、すっかりリベラデルドゥエロに魅了されていたのです。アンティークジュエリーディーラーの親友がRoaの町出身だと知るや否や、1989年頃彼女にワイナリー案内をしてもらい、よりドゥエロ川で生まれるワインの素晴らしさにハマってしまったのです。もう35年近く前の話です。ワインだけでなくスペインの歴史舞台としても重要なドゥエロ川周辺は、訪れる度に印象深く脳に刻まれてしまいました。1991年の結婚式のワインも全て1989年のリベラデドゥエロワインで統一したほど、私にとって赤ワインはテンプラニ―リョ(ブドウ品種)、リベラデルドゥエロ、ワインとの関係は全てここから始まりました。

35年前にワインの指導をしてくれた人達は、リベラデドゥエロを創り上げた人々としてワイン専門誌に紹介されているような方々です。

 

写真の中心にいる3名Perez Pasucuasファミリーは、現在ワイン展覧会などで出会っても温かく迎えてくれますが、超働きものの真面目な人達で、彼らと過ごしたワインとブドウの枯れ枝を使った炭火で作るラム料理は忘れられません。結婚式ワインも勿論Perez Pascuasでした。

1990年代にペレスパスクアスファミリーのワイナリー見学写真。当時からワインの事はベストな人々に伝授してもらっていた事が実にラッキーでした。写真の中央にいる息子さんのホセ・マヌエルは今もっとも権威のある醸造家として有名人になっています。

振り返ってみるとワインは、スペインでの私のライフスタイルに密着しており、数日前ドゥエロ周辺の伝統的なワインケーブ(地下にある洞窟)を訪問した際、35年前の記憶が色濃く蘇ってきました。

これが伝統的なワインケーブの姿です。日本では想像できないと思うのですが、地下十数メートルのところで古代からワインは自然の温度を利用して造られていたので、地上からは煙突と通気口、出入口の扉しか見えません。今サステナブルである事が注目されていますが、昔へ戻ればほぼ全ての営みがサステナブルなのです。

ワインの醸造は地下にブドウを運び(運ぶというより窓から落とし)、小さな槽のようなところで足でブドウを踏んで圧搾し、樽に保存して造り上げていました。それら圧搾機から樽まで全て地下に設置されているのです。信じられない光景なのですが、気温は年間を通じて12~14度くらい、完璧な状態で作業をすることができ、ワインも保存できたのです。カリフォルニアなどでもワインケーブが掘られエコなワインセラーが近年人気ですが、実はワイン造りはケーブで実施したのがスペインでは古代からの原点なのです。

こんな風に地下に部屋があり、各部屋で違う作業ができるようになっています。10m以上地下に下りました。

私の背後に樫の長い柱がありますが、それがねじのような構造で石と組み合わされていて、ブドウの重しのようになり果汁を段々と搾っていきます。

現在は使用されていない大きな樽が2つありました。当時はきっと必要な分のワインだけ樽から出して、陶器のピッチャーに入れて地上に運んだのでしょう。この日屋外は40度くらいの気温でしたが地下は12度、肌寒い気温です。ブドウの収穫もこの地域では真夏の気温30度くらいで実施されますから、すぐにこの地下にブドウを落としてしまえば、いい感じで醸造作業は出来たのです。今のように最新の温度管理をするためめ設備投資は、洞窟の穴掘りでけだったということです。

12度なのでもう一つの部屋には暖炉が灯されていて、ここで料理をし食事という理想的なスタイルでワイン造りをし、農業は営まれていたのです。エアコンなしでも超快適。夢のような空間でロゼワインを飲みながら話を聞きました。一年を通して同じ気温のケーブで、この地域の人は週末集まって食事をしたり、ワインの収穫を楽しんでいることがよくわかりました。インテリアまで超おしゃれに思いました。

現在、EUの燃料政策で信じられないような電気代となり、誰もが暮らしにも仕事にも困っていますが、ここでは古いケーブを新たに醸造用に改造して使っているワイナリーもあり、電気はほぼ使用せずにワイン造りが営まれています。先人の知恵に脱帽、そして古いケーブを守り続けている人達にもエールを送りたいと思います。いつかこんな環境で生まれる素晴らしいワインも日本にお届け出来るよう、日々考えているところです。下の写真からも洞窟の深さが伝わると思います。

ワインケーブを詳しく見学させてくれたPablo Santamariaさん有難うございました。彼のボデガで生まれるロゼワインすっかりファンになりました。Bodegas Alfredo Santamariaおすすめです。

 

 

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