ヨーロッパ発-オリーブオイル便りVol.1

Olive oilオリーブオイルについて
スペインで暮らし、生産地を歩き、生産者と語り合いながら見えてきた、ヨーロッパのオリーブオイルの「今」を、日本の皆さまへお届けします。

ヨーロッパで今、オリーブオイル市場に大きな変化が起きています。

今年、EUへのモロッコ産オリーブオイルの輸入量が前年同期比で700%を超える勢いで増加したことが、大きなニュースになりました。背景には、干ばつからの生産回復や収穫量の増加があります。

もちろん、ここで誤解してはいけないことがあります。

モロッコにも、世界的に高く評価される素晴らしいオリーブオイル生産者がいます。

問題は「どこの国のオイルか」ではありません。

私が気になっているのは、オリーブオイルが世界中から原料を集めて売買される「コモディティ(国際商品)」になりつつあることです。

これまでは、生産地や生産者と結びついていたオリーブオイルが、価格を基準に国際市場で取引され、複数の国の原料をブレンドした商品が増えています。

EUでは、「EU産」「EU産およびEU域外産のブレンド」といった表示が義務付けられています。

ラベルの下の方の角に、EU産およびEU圏外産と明記されています。

しかし、その表示の意味まで理解して商品を選んでいる人は、決して多くありません。

さらに、もう一つ知っておきたいことがあります。

EUでは、環境や健康への配慮から、使用できる農薬や除草剤の基準が年々厳しく見直されています。一方で、EU域外には、EUでは認可されていない有効成分を使用できる国もあります。

輸入される食品はEUの残留農薬基準を満たす必要がありますが、「どのような環境で栽培され、どのような考え方で生産されたのか」という視点も、本来は私たちが知っておきたい情報ではないでしょうか。

私は二十年以上、スペインとポルトガルでオリーブ畑を歩き、生産者に会い、搾油所を訪ねてきました。

だから、国名だけでは選びません。

価格だけでも選びません。

私が見ているのは、その一本のオリーブオイルの向こう側にいる生産者です。

必ず生産地、生産者、農園のどの区域、どの木で搾られるオイルなのかを確かめています。

誰が育てたのか。

どんな土で育ったのか。

どのような思いで搾られたのか。

それが見えるオリーブオイルこそ、本当に価値のある一本だと思っています。

これからこのブログでは、ヨーロッパで今起きているオリーブオイル市場の変化を、日本ではあまり知られていない視点から、できるだけ分かりやすくお伝えしていきます。

「EU産・EU域外産ブレンド」とは何を意味するのか。

コモディティ化とは何か。

そして、なぜ今、生産者が見えるオリーブオイルを選ぶことが大切なのか。

スペインの生産地から、現場で見てきたことを、少しずつ皆さんと共有していきたいと思います。

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