Lagarteraラガルテラの伝統刺繍

Handmade

義母が大好きだったラガルテラーナの刺繍は、陶器の次に発見したスペインの伝統工芸なので、私にとって特別な意味があります。スペインで暮らし始めた頃から、なぜか関係のある刺繍…Lagarteraラガルテラというエクストレマドゥーラの小さな町で作られているスペインの宝のひとつです。

刺繍といえばサラマンカ、またはラガルテラを思い浮かべるほど、優雅で豪華な刺繍とレースの伝統がある町がここラガルテラ。パートナーの実家で使われていたテーブルクロスやシーツは、ほとんどこの町のものか、修道院で特注で作られていたものなので、ここの刺繍のモチーフを見ると、あらゆる思い出が脳裏に浮かびます。

パートナーの話では、昔まだ今のような高速道路が完備されていなかった頃、この町を通りかかると義母は、町の女性が椅子に座って刺繍をしながら販売しているテーブルクロスを買っていたそうです。今でもパティオや通りで井戸端会議をしながら刺繍をしている人を、時々目にすることがあります。

町中に近くのプエンテやタラベラで焼かれたタイルの看板があり、ラガルテラーナの民族衣装を装った人々の姿が見えます。こんな可愛い心が温まるタイルを見ると、刺繍やレースなどの手仕事で繁栄してきた地域は、心が豊かだったのだろうなぁ~と思います。世界的にも秀でた写真家として有名なJose Ortiz Echagueホセ・オルティス・エチャグエが、1930年頃にこの町の人々を撮っているのですが、あまりに美しさに目を見張ります。

こういう人達はきっと自然とハンドメイドで作ったものしか目にしなかったのでしょうね。全く汚染されていない人間の美しさを保っているように思います。現代人がTVやあらゆるメディアで無意識の内に目に入れている破壊された世界は、きっとこういう人たちの周りにはなかったのでしょう。

エチャグエが撮った写真の中には、貧しい人々の画像もあるのですが、誰もが表情が今の人とは違うのです。
Photo by Jose Ortiz Echague

この民族衣装の豪華さが、日常品にも反映されており、テーブルクロスなども特別な時にだけ使用するリネン100%のものから、普段使いのコットンのものまで区別して作られています。小さい頃から誰もがお嫁入り道具を時間をかけて準備したそうで、シーツからベットカバー、テーブルクロス、カーテンレースと、何もかもがハンドメイドで丁寧に愛情を込めて作られています。一生使えるものばかり…事実、義母のクロス関係のものは、私がかなり受け継いでいるのですが、どれもほとんど問題なく使えます。

テーブルクロスがビニールになり、ペーパーの使い捨てのモノになり、確かに便利になっていますが、何かかけがえのないものを失っているように日々感じます。特に数百年の伝統が失われそうになっているところを目撃すると、今何を大切にするべきなのか、深く考えさせられます。

Photo by Jose Ortiz Echague

あるお店の様子ですが、微笑ましいタイルと共に楕円の看板が貼られていますが、これはオランダ大使の御用達刺繍店である証明看板です。よくある王室御用達看板と同じようなモノです。よく考えると、この町にスペイン王家御用達の刺繍店が無い事は、とんでもない事だと思います。最近よくスペインという国をブランド化して輸出を増やさなくてはいけないというムーブメントがありますが、こういう国の宝を王家の人たちが守っていなかったら、立派なスペインブランドは生まれないと思います。王家のアドバイザーは、どうしてこういうスペインの誇りを守ろうとしないのでしょうか。どんどん伝統工芸が失われている姿を何年も目撃していると、本当にこういう事には腹が立ちます。オランダ大使が御用達にしているのに…スペイン首相も王も何もしていないなんて最悪としか言えません。

4月5月と日本でオリーブに関する催しを予定しているのですが、今年からもっと食卓を囲む事を文化として捉え、このような伝統工芸もトータルでご紹介出来るようにしょうと思います。食は文化であり、オリーブオイルのような万能薬であり、健康のために欠かせないオイルは、6000年もの時間の経過の中で、今やっと日本で浸透してきています。地中海文明の知恵の賜物は、やはりそれを囲む伝統文化と共に伝えたいと思います。どんな刺繍が日本に届くか、どうぞ楽しみにしていてください。催しは告知させていただきます。

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